3.12021
イベントレポート「阪急阪神 ゆめ・まちソーシャルラボ vol.58 ゆめ・まちはじめてのおうち美術館」
アートってちょっと難しそう…。でも実は、とってもおもしろい!「対話型鑑賞」という手法を使ってアートの世界に入り込む親子向けのイベント「ゆめ・まち はじめてのおうち美術館」を、1月24日(日)(1部13:00~14:30/2部15:30~17:00)に、オンラインで開催いたしました。
オンライン開催ということで、遠方からの参加も可能になり、関西以外からもご参加頂けました。
集まってくれたこども達は、少し緊張しながらも、楽しみな様子でイベントはスタートしました。
講師は (株)コイネー代表アートディレクターのパパンダ(中村征士)さん。
まずは、パパンダさんからご自身のお仕事についてご紹介。
デザインとは?広告とは?それは、人に何かを伝える仕事、相手の気持ちになって深く考える仕事、とのこと。色々な角度から物を感じることが大事だと話してくれました。
今日の「対話型鑑賞」についてのお題は2つ。
①作品を見て感じたことをみんなで発表する。
②アートで実験してみる。実験とはやってみないとわからないこと。
さあ、スタートです!
≪体験① アート作品にツッコミを入れてみよう≫
「1分間よーくみて、何か気になるところや変だなとおもうところに、小さなことでもいいのでツッコミをいれてみましょう!それを紙に書きだしましょう。」
パパンダさんの声掛けとともに、こども達はじっくり画面を見て、手元の紙に書き出します。
こども達から出てきたツッコミは、お面みたい。魚と人混ざってるみたい。よだれ?
目が大きい 目と目の間に鼻がある
お面?太陽と月みたい。右半分は三日月みたいで、全体で太陽みたい。
なんで顔持ってるの?
などなど。いろんな意見が出ました。観る視点や感じ方は十人十色とはまさにこのことですね!
「この彫刻は、西宮市の大谷記念美術館にある『午後の日』です。裏側はどうなってるのかななど思いながら、また落ち着いたら、ぜひ観に行ってみてください。」とパパンダさんからのコメントも。
≪心を静かにして集中してみてみよう≫
次の作品は、“心を静かにして集中して” 1分間隅から隅までながめて、見つけたものがあったら紙に書いたり手を挙げて発表してみてもらいました。
発表してくれた内容として、なんで女の人が浮かんでるのか?怒ってる気持ち。不安になる絵。
この女性は生きてるのか?何を思ってこれを描いたの?
ショックなことがあったのかな?ネガティブなことを伝えたいのか。
泳いでるの?
森の中に入っているように見える。木や草に囲まれながらゆっくり流れている。
流れてる?
向こうに木が倒れてる。不安な感じ?
など、見つけたもの、感じたことをたくさん発表してくれました。
実は映画の「崖の上のポニョ」に出てきたグランマンマーレのシーンはこの絵からイメージを作ったものという説も!
この絵は「オフィーリア」という作品で、シェイクスピアの小説に出てきます。川に入って死んでしまうという悲しい絵で、絵に描かれている白いお花や手前の赤い花の言葉は「死」なんだそう。おぼれてるみたいと感じたのも間違いじゃないですね。
レクチャーを聞いた前と後では、絵の観え方が違ってくるということを感じてくれたこども達。パパンダさんのお話をうなずきながら聞いてくれていました。
≪茶器もアート!じっくり鑑賞してみよう≫
次に茶器について鑑賞してもらいました。これまでと一緒で、まずは、静かに1分間、時間をかけて眺めてもらいます。
感じたこと、思ったことを紙に書いて発表してもらいました。
古いか新しいかよく分からない。がれきみたいな感じ、手触りがざらざらしてそう。
色が変わってたり、グラデーションがある。
葉っぱかな?ざらざらしている感じが重そう。
形が丸くてかわいい。
剥げちゃってるのかな??
など、茶器に関する感じ方も様々です。
そして、茶器を鑑賞した後は、茶室を想像しながら、実際にお茶を飲んでみる体験をしました。茶室の特徴や昔の人のお茶のたしなみ方を知り、茶室をイメージします。
部屋を少し暗くして、茶室にいる気持ちでそれぞれのおうちで準備してもらった飲み物をゆっくり飲んでもらいました。
その後、みんなに感想を聞いてみると
いつもの味より高級な感じがした。
ミルクティを飲んだけど、お茶室にいると思って飲むと、不自然な美味しくない感じがした。
いつものお茶より甘く感じた。
など、普段飲んでいるものでも、お茶室をイメージするだけで、こんなにも感じ方が違うのだとびっくりしましたね。
その驚きや感じたことを漢字1文字か絵であらわしてもらうと、下記の通り!!
慣=抹茶を飲んだ時は、苦かったけど慣れてきた。
美=いつもの味より美味しく感じた。
苦=飲んだお茶が苦く感じた。
静=心が静かになった。
木=茶室は木造建築で畳だから、木の雰囲気を感じた。
優=電気を消すと、穏やかでお茶も美味しくなった。
丸=滑らかな時間が流れた。
和=和みました。
などなど…!
真剣にプログラムに取り組んでくれたこども達。
同じものを鑑賞した時、他の人はどんな風に感じたのか、自分との違いを楽しんでくれているようでした。
最後は、イベント全体の感想を発表し、記念撮影しました。
今回鑑賞した作品をまたぜひ観に行きたい。
パパンダさんのいるところに行きたい。
みんなで一つの作品を見て、それぞれ出る意見が違って、自分の中にも芽生えるものがあって、みんなで見れることが良かった。
と、それぞれの感じ方で、イベントを楽しんでくれました!
いままで体験したことのない、アートの世界に入り込んだ1時間半。
画面越しに、いろんな表情やリアクションを見せてくれたこども達、ご参加ありがとうございました!
今後も「阪急阪神ゆめ・まちソーシャルラボ」では、こども達の興味が広がるプログラムを開催していきます。